俺の仕事…人には見えぬ存在を視、そいつらの話を聞き、最後の一言を届けること。 俺自身、すでに普通の人間ではない。 きっと、この闇の世界に染まり過ぎたんだ。 闇の中、日常の裏側、すぐ近くでそれは起こる。 「 」 「………・・・・・・・。」 全ての感覚が同化し、そいつの存在はその瞬間触れる程に強く濃く浮かぶ。 そいつの気持ち、言葉、思い、はある。 たくさんの思念の中、俺は最後の思いを探す。 伝えてほしい事を聞き、届ける。 俺の体は世界に融け、行きたい場所どこにでも行ける。 何も感じず、何も考えることなく、この仕事をし続ける。 それが、おれのそんざいするいみ。 「真田。」 「――――――っっはいっ!」 といっても、この仕事は副業だ。 俺にも一応人間らしい表の仕事もちゃんとある。 ま、普通のサラリーマンだったりするけど。 「なんだよー。今俺の話聞いてたか?」 すんません、他人の話聞いてました。 「すみません、もう一度お願いします。」 「だから〜…」 先輩の愚痴に付き合うのも俺の仕事。 こっちの世界はいつもと何も変わらない。 上司に不満がある先輩たち、恋愛ごとに華を咲かせる女性たち、 淀み鎖に繋がれ、毎日時間通りに仕事をこなす腐ってるこの世界は アッチに比べて、なんてつまらないんだろうか。 「 」 ほら、まただ。 最近は仕事が増える一方だ。 俺の体は残業のせいでぼろぼろ。 俺は適当に先輩に相槌を打って席を離れた。 「俺以外のヤツに頼んでくれよ。」 「 」 まわりから見れば俺は独り言を言っているように見えるのだろう。 きっと他の奴らは見えてて見ないフリをしているんだ。 面倒事には付き合いたくない一心で、すぐ近くにある存在を知らない内に消し去っている。 そんな人間ばかりだから俺がこんなに苦労しなきゃいけなくなるんだ。
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